DXに取り組むべきかを考えはじめたなら、最初に何をすべきか
DXを実現するための解決策と技術と実装設計を中小企業が自ら担うことは困難ですが、業務課題の整理、DXの適用仕分けと実施決断は、企業自身がおこなわなければなりません。
コンサルやシステム企業に依頼するのも1つの手ではありますが、彼らが紹介する他社事例を鵜呑みにして、そのまま自社にも適用するのは危険です。彼らはDXの意味と意義を語り、事例その手段を紹介し、進め方を説き、会議を進行し、検討結果資料を見栄え良く策定し、彼ら自身のサービスや製品を販売することが彼らの務めです。私もそうでした。彼らは世間の情報を多数持っていて説明や資料の策定を上手に出来るかもしれません。
しかし、あなたの企業の業務と課題と要望を、あなた以上に知っている、体験している人はいません。現場のあなたは表現が苦手で、上司に伝えるのが面倒で、見て見ぬフリをしているだけではなのではないでしょうか?
もしあなたが、「もしかしたら、うちもDXをやってみる必要があるかもしれない」と思われたのであれば、もっとも重要かつ最初にやるべきことは、「業務の棚卸し」と「DXの適用仕分け」です。DXを進める(もしくは進めない)の行程のなかで、この作業がもっとも重要だと私は考えます。
業務の棚卸し
ご自身が経営もしくは参画されている企業では複数の業務が存在します。是非一度、業務に携わるスタッフの皆さんが集まって、業務の川上から川下までを、箇条書きできれば絵で棚卸ししてみませんか?最初から上手に描く必要はありません。できればホワイトボードに描いてみて、それからパワポなどに清書するのがラクだと思います。在宅勤務の私はオンラインホワイボードであるMiroを使っています。
あるべき姿の探索
ここと、ここと、ここは、手作業でやるのは何故か?もっと効率的に、いい意味でラクにできないか?ICTを導入し、DXするとメリットがあるか?むしろ効率が悪くなる?出来が悪くなる?中長期的にはどうか?この先この作業を担うのは誰・・・など、ICTや機械で自動化・省力化すべき業務と、そうではない、これからも手作業でやるべき・・・などと論議しながら、業務を棚卸しと業務やサービス、製品の「あるべき姿」を探っていきます。
「どう仕分けするの?」と聞かれることが多いのですが、下記のような視点で選別するのは如何でしょう?
DXの適用仕分け
1.法令で手作業を義務とされている業務
2.従来の方法や手作業でおこなうことで、サービスや製品の価値をもたらしている業務
3.技術的に手作業でしか実現できない、実現しようとすると莫大なコストが必要な業務
4.ICTでは効率が悪くなり、規模が小さく、中長期的に考えてもDXの意味がない業務
5.ICTを適用することで新しい価値が生まれるかもしれない業務
6.ICTを適用することでミスが少なくなり、コストが下がり、人手不足が解消する業務
7.この先この業務をおこなう人が居なくなる可能性がある業務
8.手作業を続けると品質低下や危険が生じる・もしくは既に生じている業務
9.法令で手作業が禁止もしくは早急にICT化することを求められている業務
1から9にしたがって、ICTの適用が必要となるように並べています。「ICTを適用することで新しい価値が生まれるかもしれない業務」こそが、DXであると解釈するコンサルティング・ファームも存在します。
仕分けた後は?と疑問が湧いてこられるかも知れませんが・・・今回はこの辺で。
機会があれば、続きをお話したいと考えます。
CIO補佐 デジタル推進担当
築瀨 猛