
スマートフォンやタブレットが業務の中心となった今、企業の情報管理はかつてないほど複雑化しています。
従業員が社外から業務にアクセスする機会が増える一方で、セキュリティリスクも比例して高まっています。
こうした状況の中で注目されているのが「EMM(Enterprise Mobility Management)ソリューション」です。
しかし、「なぜEMMが必要なのか?」「従来の管理方法ではなぜ不十分なのか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
本コラムでは、EMMソリューションが求められる背景とその重要性について、わかりやすく、そして徹底的に解説します。
企業のモバイル活用を安全かつ効率的に進めるためのヒントを、ぜひご一読ください。
本コラムはSOTI Japan様よりご寄稿いただきました。
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背景:なぜEMMが必要になったのか?
働き方の多様化、モバイルワークの拡大
テレワーク、在宅勤務、ハイブリッドワークなど、「場所にとらわれない働き方」が急速に広がっています。これに伴い、従業員がオフィス外で業務に使うスマートフォンやノートPC、タブレットなどのモバイル端末の使用が急増しました。
- 社外から社内システムへアクセス
- カフェや自宅など、セキュリティレベルがまちまちな環境下での作業
- 私物端末(BYOD)による業務利用
こうした状況は便利である一方で、「情報漏えいリスク」や「業務データの管理困難」といった新たな課題も生み出しました。
BYOD(私物端末利用)の普及
企業によっては、コスト削減や従業員の利便性向上を目的に、私物端末を業務に使うBYOD(Bring Your Own Device)を導入しています。
しかしこのモデルでは、企業がデバイス全体を自由に管理できないため、従来のMDMだけでは不十分になりました。
→ アプリ単位やデータ単位での制御が求められるように。
クラウドサービスの利用拡大
Microsoft 365、Google Workspace、Dropbox、Salesforce など、クラウドベースの業務アプリの普及により、業務データがデバイス内に限定されなくなったのも大きな要因です。
- データは常にクラウドに存在する
- デバイスではなく“ユーザー”や“アプリ”を制御する必要がある
これにより、デバイス管理中心のMDMでは限界があり、より包括的なEMMの登場が必然となりました。
EMMソリューションの重要性
では、EMMがどのように現代のIT環境で重要な役割を果たしているのか、以下の視点から解説します。
情報漏えいの防止
EMMは以下の方法でセキュリティを強化します
- アプリ単位で業務データを保護(例:業務アプリ内のデータだけリモート削除)
- MAM(Mobile Application Management) → アプリごとの制御(特定アプリの利用制限・監視)
- デバイスの盗難や紛失時の遠隔ワイプ機能
- 不正アプリのインストール制限や業務データの外部送信制限
これにより、たとえ端末が盗まれても情報が漏えいするリスクを大幅に減らすことができます。
利便性とセキュリティの両立
セキュリティ対策が厳しすぎると、従業員の業務効率を下げてしまう可能性があります。
EMMでは
- シングルサインオン(SSO)で複数のサービスに1回のログインでアクセス
- 業務アプリを個人アプリと分離(コンテナ化)し、使いやすさを保つ
- クラウドベースでの一元管理によって設定変更やポリシー適用が迅速に行える
→ セキュリティを担保しながら、柔軟な働き方をサポートできます。
ガバナンスやコンプライアンスの実現
医療、金融、公共サービスなど、個人情報を多く扱う業種では、法規制への対応が必須です。
EMMでは
- ログの取得、監査機能
- ポリシー適用・違反時のアラート通知
- アクセス権限の細かい設定(誰が・いつ・どこから・何にアクセスしたか)
→ 企業の責任を果たす上で必要な「可視化」と「統制」を実現します。
マルチデバイス対応と一元管理
従業員が使用する端末は、スマホ、タブレット、ノートPC、場合によってはIoT機器まで多様化しています。
EMMは
- 異なるOS(iOS、Android、Windows、macOS)への統合的なポリシー適用
- クラウドを通じた一元管理画面
- 端末のステータス、脅威検出などをリアルタイムで把握
→ IT管理者の負担を軽減しながら、複雑なIT環境を効率的に運用できます。
まとめ
理由 | 説明 |
---|---|
モバイル・クラウド化の進展 | もはや「オフィスのPC」だけでは業務が完結しない |
セキュリティリスクの増加 | データの境界が曖昧に。MDMではカバーしきれない |
働き方の多様化への対応 | テレワーク・BYODでも安全に業務ができる仕組みが必要 |
法令・規制への対応 | 情報漏えい防止、ログ管理、証跡が求められる |
IT部門の運用効率化 | 多数のデバイス・OSを統合管理したいニーズ |
EMMは、単なる「モバイル管理ツール」ではなく、『企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える“基盤”』でもあります。
将来を見据えたEMMの価値
今後は、以下のような技術ともEMMが連携していくでしょう。
- ゼロトラストセキュリティモデルとの統合
- AIによる脅威予測・自動対応
- UEM(Unified Endpoint Management)への移行
- IoTデバイスの管理まで拡張
つまり、EMMを今導入・活用することは、「未来のITインフラ」への布石とも言えます。
*SOTI Japan様コメント:
ビジネスを強化する SOTI MobiControl は、単にデバイスを管理するだけではありません。
リアルタイムでスマートなコントロールをし運用状態を可視化します。個々のデバイス内部に潜んださまざまなデータを最大限に活用できるので、最終的に企業の変革に寄与します。
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